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55話 鍵のかかった部屋

last update تاريخ النشر: 2026-07-28 12:42:47

新しい命令が下った。

――離れを捜索――

確かにあの離れは気になっていた。美緒様が本邸ではなく離れに、まるで隔離されるように一人で住まわされていた場所。そこには及川の執務室があるので、あの離れに行くのはそれ程、骨は折れないだろう。華瑛は今、和久井に夢中なのだ。良いタイミングでもある。

だが及川が知らない事を私が探れる……?

いや、及川だからこそ、探れない事もある筈だ……あの小部屋がそうだった。

離れに入る。本邸では瑛理香がおかんむりで花瓶を派手に割っていた。離れを使ってのお茶会を華瑛に却下され、更に婚約者である高橋翔太にも、興味を向けられていない事に苛ついているようだった。

高橋翔太と一ノ瀬瑛理香。あの二人は一蓮托生では無い互いに求めるものを互いが持っていただけ、という脆い繋がりでもある。どちらかが相手の求めるものを失った時、瓦解する ――そんな脆い関係だ。愛し合ってもいない、愛なんてあの二人の間に生まれる訳が無い。

離れに入ると、廊下の向こうから及川が歩いて来た。

「存分に。私は本邸に戻り、本邸内をコントロールする」

そう言われて私は頷く。

「えぇ、お願い」

及川と入れ替わりで私は
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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   55話 鍵のかかった部屋

    新しい命令が下った。――離れを捜索――確かにあの離れは気になっていた。美緒様が本邸ではなく離れに、まるで隔離されるように一人で住まわされていた場所。そこには及川の執務室があるので、あの離れに行くのはそれ程、骨は折れないだろう。華瑛は今、和久井に夢中なのだ。良いタイミングでもある。だが及川が知らない事を私が探れる……?いや、及川だからこそ、探れない事もある筈だ……あの小部屋がそうだった。離れに入る。本邸では瑛理香がおかんむりで花瓶を派手に割っていた。離れを使ってのお茶会を華瑛に却下され、更に婚約者である高橋翔太にも、興味を向けられていない事に苛ついているようだった。高橋翔太と一ノ瀬瑛理香。あの二人は一蓮托生では無い互いに求めるものを互いが持っていただけ、という脆い繋がりでもある。どちらかが相手の求めるものを失った時、瓦解する ――そんな脆い関係だ。愛し合ってもいない、愛なんてあの二人の間に生まれる訳が無い。離れに入ると、廊下の向こうから及川が歩いて来た。「存分に。私は本邸に戻り、本邸内をコントロールする」そう言われて私は頷く。「えぇ、お願い」及川と入れ替わりで私は離れを見て回る。◇◇◇「美織はどうしている?」日下部にそう聞くと日下部が微笑む。「お部屋にて、情報を共有されています」そう言われて俺は微笑む。「そうか」そう言って時計を見る。「食事は摂っているのか?」そう聞くと日下部が微笑む。「えぇ、征哉様よりは健康的に」そう言われて笑う。「そうか」俺がそう返事をすると食事が運ばれて来る。それを見てまた笑う。日下部は本当に気の利く男だ。◇◇◇九条征哉が私に与えた権限 ――それは一ノ瀬家に潜り込んでいるスパイたちの報告をタブレットで見られるようになった事だ。報告によれば私が使っていた離れの捜索を九条征哉が命じている。離れ……あそこは元々、お母様が療養の為に使っていた場所でもある。今思えばお母様が体調を崩したのは華瑛の仕業だったと分かったけれど、体調を崩し始めた時は、その原因が分からなくて、私はとりあえず、お母様から引き離されたのだ。お母様が亡くなり、あっという間に華瑛が一ノ瀬家に入り込み、私は成す術もなく、離れに追いやられた。それでも離れはお母様が居た場所だったし、本邸に居るよりは心が休まった。離れの部屋はいくつかある

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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   50話 攪乱

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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   7話 消えた令嬢

    高橋翔太と瑛理香は元々、繋がっていて……一ノ瀬家の家名が欲しかった高橋翔太と、一ノ瀬家の令嬢という地位を自分だけのものにしたかった瑛理香が手を組んでいた……。高橋翔太と一ノ瀬瑛理香は笑いながら、私の墓石を足蹴にして、去って行く。しとしとと降る雨の中、私はまだ衝撃に体を動かせないでいた。不意に私は笑い出す。「フフ……」そう言う事だったのね……箒を握る手に力が入り、指の節が白くなる。私がどうしてあの夜の記憶を失くしたのか……それはあの二人が結託して私を嵌めたからだ。宿敵である九条征哉という男をも巻き込み、私に言い逃れが出来ないように写真を撮り……そして私のお腹の中に宿った子供でさえも、

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